「絹と明察」と長良川の鵜飼

 鵜舟の篝火に揺らぐ幻の宴

鵜飼

序章

喜寿を迎えた主人公が久し振りに故郷の岐阜市を訪れ、長良川の鵜飼文化に触れながら、懐かしい入社試験の社長面談シーンを回想するところから物語りは始まります。
ところで、昭和29年(1954年)に勃発した人権闘争として歴史に名を遺す事となった労働争議を描いた三島由紀夫の名作「絹と明察」をご存じでしょうか?
この小説は、それから時を経た昭和46年(1971年)、そのモデルとされる繊維メーカーに入社した主人公が、実は小説の舞台である駒沢紡績に入社していたという奇想天外な設定で争議後を描いていく物語。
当に、「絹と明察」の続編とでも言える様な小説です。


話しのあらすじは、川端文学のファンであり、中でも長良川の鵜飼を舞台に描かれた初恋小説「篝火」に心惹かれた女性との結ばれることのなかった悲恋物語を始め、時には子供時代から学生時代までのエピソードを織り交ぜながら、入社試験から不惑の年に大阪本社支部長を退任するまでの約20年及ぶ、会社の仕事と組合運動の2足の草鞋を履き続けた人生が描かれて行きます。更に、その後のライフワークとなる柿渋との偶然の出逢いも、実は必然的であったと思われる様な流れとなっています。

又、三島由紀夫著「絹と明察」において、絹とは日本的家族主義であり、明察は西欧的合理主義を指すと云われていますが、この作品で描かれるのは、近代資本主義に於ける企業の持つ二面性である社会性と利益性のバランス感覚であり、更には現状の行き過ぎてマネーゲーム化した感のある金融資本主義に対して警鐘を鳴らしたいとの想いを込められております。

推敲を重ねながら、随時更新して行きますので、気長にお付き合い下さい。


目次
第一章:入社試験社長面談と鵜飼

第二章:労働組合運動との出会い

第三章:社会人一年生の春夏秋冬

第四章:労使協調路線と福利厚生

第五章:鵜飼ウエディングと人事

第六章:それぞれの父子像と父権

第七章:篝火に揺らぐ初代と千衣

第八章:コマザワボウ衣川の戦い

第九章:権力のある処に忖度あり

第十章:感慨深い二足の草履人生


小説「絹と明察」の解説・あらすじ

〇三島由紀夫著作の長編小説
1964年に文芸雑誌「群像」に連載され、講談社より単行本が出版される。

〇石破茂元首相が推奨「絹と明察」
2025年10月7日、都内で開催された連合第19回大会での来賓挨拶の中で、ご自身が三島由紀夫の愛読者という事から「絹と明察」に触れておられ、近江絹糸の労働争議についても述べられております。
「新潮文庫から出ていますから、どうぞお暇があればお読みください」と勧められておりますので、下記、ご紹介して置きます。
尚、詳細は首相官邸ホームページに掲載されておりましたが、高市首相に変わりましたので、削除されているかも知れません。
キーワード「絹と明察+石破」でgoogle検索してみて下さい。

〇絹と明察 あらすじ
彦根に巨大紡績会社を築き上げた実業家、駒沢善次郎。自らを父親、従業員を子とする独特な経営哲学とその特異な人物像に、政財界に通じるフィクサー岡野は興味を持った。彼は旧知の元芸者を送り込み、駒沢と会社の動向を探ろうとする。若者と大人、地方と都会、知性と恍惚、貧と富。対立する二者の激突と新たな時代の到来を、濃密な人間模様とともに描き出す。

〇絹と明察 解説:酒井順子
駒沢紡績の社長である駒沢善次郎の国見のシーンで始まる絹と明察。同業他社の社長達や、政財界のフィクサーで岡野を招いて自社の工場を案内し、チャーターした遊覧船で近江八景を見物するという行為は、王が領土を巡り、その君臨振りを他国の王に魅せるかの様です。
駒沢の臣民である千人余の女子工員達が、桟橋で旗を振って社歌を歌いながら船を見送る姿は、岡野達からは異様に見えました。しかし、駒沢からすると、それは自身に捧げられる愛を証明する姿。両者の感覚のずれ幅は時が経つにつれ広がり、やがては破滅につながっていくのです。

〇絹と明察 解説:田中美代子
作者はこの作品について次の様に語っている。
「書きたかったのは、日本及び日本人というものと、父親の問題なんです。二十代には当然の事だが、父親という物には否定的でした。「金閣寺」まではそうでしたね。しかし、結婚してからは、肯定的に扱わずにはいられなくなった。この数年の作品は、全て父親というテーマ、つまり男性的権威の一番支配的なものであり、いつも息子から攻撃を受け、滅びてゆくものを描こうとしたものです」
(著者と一時間 朝日新聞・昭和39・11・23)

ー令和3年4月1日新版発行 新潮文庫よりー

〇近江絹糸「人権闘争」の真実 朝倉克己著
「絹と明察」に登場する大槻青年のモデルとされる人物で、その後に労働組合長を努めた筆者が、106日間の長きに及んだ闘争は何故に起こったのか?を改めて振り返る。

ー2014年8月30日 初版発行 サンライズ出版ー


 目 次  

 
第一章:入社試験社長面談と鵜飼

第二章:労働組合活動との出会い

第三章:社会人一年生の春夏秋冬

第四章:労使協調路線と福利厚生


 作者プロフィール

       
1948年5月
 岐阜県本巣郡北方町に生誕
1955年4月
 岐阜市立鷺山小学校入学
1961年3月
 旧金山町立金山小学校卒業
1961年4月
 岐阜市立梅林中学校入学
1964年3月
      同中学校卒業
1964年4月
 岐阜県立岐山高等学校入学 
1967年3月
      同高等学校卒業
1967年4月
 関西大学法学部法律学科入学
1971年3月
    同校同学部同学科卒業
1971年4月
 オーミケンシ株式会社入社
1997年3月
       同社依願退職
以後今日迄柿渋の普及活動に従事





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